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モンサラーシュとNちゃんの話

9月も半ば、リスボンは少し涼しくなってきました。


ちょうど2年前の9月、初めてアレンテージョ地方のモンサラーシュ(Monsaraz)に行きました。


↓モンサラーシュについてのブログはこちら

モンサラーシュへの行き方

モンサラーシュに行った理由


「沈黙の音が聞こえる村」とも言われるモンサラーシュが素晴らしかったのは言うまでもありません。

今回は、9月の暑い日に思い出すモンサラーシュと友人Nちゃんとの話。

私の文章力でどれほど臨場感が伝わるかわかりませんが、当時おなかがよじれるほど笑ったので自分の思い出のために書いておきます。


***


日本人の友人Nちゃんとはリスボンで知り合いました。

ポルトガル全国を転々としながら各地のレストランでポルトガル料理を学んでいる面白い子です。

ちなみに彼女はポルトガルのSIMカードを契約しておらず、通信関係はWi-Fiの電波のみで生活していました。本当に面白い子です。

Nちゃんは9月の初めからモンサラーシュ近くのレストランで修行していました。

モンサラーシュへの1泊旅行を決めた私は、時間があったら会えるかなと出発の2〜3日前に彼女に連絡しました。

ところがNちゃんからの返信はなし…少し残念な気持ちもありつつリスボンを出発。


レゲンゴス・モンサラーシュでモンサラーシュ行きのバスに乗り換え。前から2番目、左端の席。

バスは終点のモンサラーシュまで、アレンテージョ地方に点々とある小さな村をいくつか通過して進みます。

最初は地元の学校帰りの子供たちも乗っていましたが、モンサラーシュが近付くにつれ乗客は私1人に。

夏のアレンテージョ地方はとても暑いので、みんな日中は家の中にいて夕方涼しくなると外に出てきます。そのため午後2時過ぎの村ではほとんど人を見かけませんでした。


モンサラーシュひとつ手前の村を通過していると、珍しく道端に人の姿が見えました。


2人で何か話してる。

1人はアジア人ぽいな。

…いやいやこんな田舎の村でそんなわけないか。


ゆっくりと細い角を曲がりながら2人の横を通るバス。そのとき1人の顔が見えました。


……Nちゃん!!!


驚きとあまりの偶然に信じられない気持ちで、気付いて!と窓を叩く私。

2人の横を通過し終わる直前、ついにNちゃんと目が合いました。

しかしバスはそのまま2人の横を通りすぎ、停車することなくモンサラーシュへ…


すぐにスマホでNちゃんに連絡しましたが、既読になりません。

そうこうしているうちにバスは丘を上り、終点であるモンサラーシュの入口に到着。ひとまず宿に向かい、荷物を置いて休憩することにしました。


この宿がとっても素敵で、部屋もかわいいし眺めも最高。なんと部屋にクーラーもついていて涼しい。

アレンテージョの暑さに疲れた私はベッドでゴロゴロ。

そのまま30分くらい経った頃でしょうか。急に部屋をノックされました。

何事かとドアを開けると、宿の人が「あなたの友達っていう人が来てるんだけど…」と怪訝な表情。

すぐに察してロビーに行くと、そこには汗だくのNちゃんがいたのです。


再会に喜びつつ事情を聞くと、

- 連絡できなくてごめん、Wi-Fiがなかった

- 今日は地元の人に料理を習う予定だったけど、中止になったのでWi-Fiを探して自転車で村をいくつか回ってた

- バスにりょうこちゃんが乗ってたので、村の人にバスの行先を聞いて、自転車を置きに家に戻り、歩いてここまで来た

- 丘を上るのめちゃくちゃキツかった

- りょうこちゃんは絶対アレンテージョの織物のお店にいる!と思って(以前その話をしていたので)お店に行ったけど日本人は来てないと言われた

- でもどこかに居るはずなので宿をひとつずつあたってた


…いや、面白すぎませんか?ガッツがすごい。

でもそこまでして会いに来てくれたのがとても嬉しかったです。

ひとつ手前のあの村ですれ違わなければ、お互いが気付かなければ、こうやってモンサラーシュで再会することはなかった…と思うと感動して笑い泣きでした。


その後2人でモンサラーシュを見て回りました。

織物のお店で「ああ、見つかったのね」と笑って言われました。


その後Nちゃんは、一時的に住んでいた家のお隣さんにお願いしてWi-Fiをお借りしていたそうです。

ほかにもNちゃんのワイルドなエピソードをたくさん聞いたのですが割愛。


いま彼女は日本でポルトガル料理教室を開いたりポルトガル料理のケータリングを行ったりしています。

この春放送されていたドラマ内でポルトガル料理の制作・監修も務めていました。

とにかくポルトガル料理に強い情熱を捧げています。


***


9月になるとアレンテージョの暑さとNちゃんを思い出します。

こんな面白い体験はそうそうないので、忘れないように書き留めておくためのブログでした。(でもきっと一生忘れないと思う。笑)